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予算を「立てる人=管理する人=使う人」の方程式を作る 予実管理tips#4

DIGGLEアンバサダーの青木です。予実管理について、10回シリーズでみなさんにtipsを共有していければ幸いです。

第4回目は、”予算を「立てる人=管理する人=使う人」の方程式を作る”です。

ちょっと想像してみてください。例えば家庭の中で、こんな光景はありませんか?

お金を稼いでくくるのはお父さん。お金を管理するのはお母さん。でも実際に使うのはお父さん。そして毎月、お父さんとお母さんはお父さんのお金の使い方で揉めている…!

お金を管理するのはお母さんの役割ですが、それは稼いできてくれるお父さんの収入次第です。毎月決まったお金を管理したくても、そもそも想定通りに収入がなければ管理できません。また一方で、いくらお母さんが管理していても、お父さんが自由にお金を使える状態であれば、管理してもしきれません。お母さんの知らないところで気づいたらカードの支払いが…!なんてこともあるかもしれないですよね。

家庭の中で起こることは会社でも起きている!

家庭の収支のやりくりが大変なように、予算管理の現場でもこれと全く同じことが言えます。予算を決めるのは役員や経営者。でも、実際の管理は経営企画室に一任されており、それなのに使っているのは現場の人間。これでは、当然のことながら、予実管理はうまくいきません。なぜなら、3者がそれぞれバラバラになると、予算を立てる人も、管理する人も、使う人も、「言い訳ができる状態」になってしまうからです。

例えば、予算を立てる人が、管理する人でない場合、予算の設計の精度に問題があったとしても、「ちゃんと管理していなかった管理者がよくないんだ」という言い訳もできます。実際に管理者に責任がある可能性ももちろん否めません。これは、管理する人と使う人が違う場合も同様です。つまり予実管理に関して、3者の中で責任の所在が不明確になってしまい、予実差が出た場合に、課題の本質を見誤る可能性があることが、この方程式が成り立たない場合の一番の課題なのです。

方程式が成り立つことが一番だけど…

本来は「立てる人=管理する人=使う人」が完全に一致していることが最も手間なく管理する方法です。ただ、これを1人の担当に任せることがハードルが高い場合もありますよね。組織の仕組み上、そこまで権限移譲できなかったり、またスキルセット的に全部できる人がいない、という場合もあるかもしれません。その場合は、まずは予算を立てる人と、使う人を一致させるとよいでしょう。予算を立てた人に責任を持って使い方も考えてもらうというのは最もシンプルな運用方法です。

そこにいわば監査役のような立場で経営企画などが管理者として間に入るとバランスが取れます。この具体的な運用については、前回の「3.事業に影響を与える予算は責任者を決めて別管理」などをぜひ参考にしてください。

また、明確に管理者を立てずに、既存の経費決裁のフローに組み込んでしまい、使う前に事前に確認する、という方法もあります。例えば、ある企画の予算を期初に立てていた場合、その見積もりが実際に決裁フローの中で上がってきた段階で、承認の有無と同時に予算とのギャップがないかを確認するという方法です。この運用フローを作れば、実際に経費を使う前に、決裁承認のタイミングで費用予定の経費の情報を吸い上げることができます。最近は、クラウドサービスなどで承認フローを組み込めるサービスもありますので、こうした承認したデータと定期的にデータエクスポートして、予実管理に連携させることも有効な方法と言えるでしょう。

DIGGLEのお客様でも、実際に自社の経費の承認データを毎週見込みデータとしてDIGGLEに取り込むことで、経費の予測の精度を上げてらっしゃる会社様もいらっしゃいます。仕組みを作ることで解決できると、経営企画の負担も軽減されますよね。

予実管理は、どうしても複雑な関数を組み込んでExcelで管理せざるを得ない、という担当者の方も多いかと思います。でもこのシンプルな方程式を意識して、マネジメントや仕組みで解決することを目指すと、精度向上に繋がり、業務効率化に繋がる可能性も大いにありますので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

著者プロフィール

株式会社Loveable 代表取締役 青木想
2007年3月 慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、同年4月に株式会社リクルート(現リクルートマーケティングパートナーズ)に入社。計数管理、事業戦略立案から法務、総務業務、サイト設計など、リクルートの企画職を9年間経験。その後2016年6月から外資系金融機関の営業職へ転職。初年度新人コンベンションで1387人中3位、女性営業マン1位を獲得。MDRTに該当。2018年2月に株式会社Loveableを設立。主にミドル〜レイターステージのベンチャーの1→100を支援する経営企画として、収支管理、KPIマネジメントから業務フロー改善、営業組織の型化などのサービスを展開。

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