経営企画・予実管理

2021/10/11

失敗しない予算計画の作り方を解説|成功企業はやっている予算計画

企業が安定して活動を続けていくために欠かせない予算計画。本記事では、予算計画の立て方をはじめ、立てた計画を管理・運用していくために必要なことをご紹介します。なぜ予算計画が重要なのか、計画に必要な情報はなんなのか、正しく理解し予算計画をしっかり運用していきましょう。

失敗しない予算計画のために

予算計画の意味を理解する

予算計画とは、会社を運営する上での、目的地の設定です。その目的地に対して、どういうルートで目的地まで到達するのか?今はどこまで到達しているのか進捗管理をすることが予算管理です。

予算計画の立案は、事業計画などに基づいた行動計画から、どの事業をいつまでに何を行うのか、事業別、部門別に売上計画、コスト計画などを策定することが必要となります。

予算計画は、上場企業の場合は業績予想の開示が求められています。さらに、業績予想と実績に一定水準の乖離が発生することが予測される場合は、判明した時点で業績予想の修正を求められることから、予算計画を毎月管理してくことが重要になっています。

予算計画を運用する

予算計画は立案し、それ自体作成するだけでは意味を成しません。実績と対比し、分析、課題・対策を設定、実行する事に意義があります。

計画を立案し、それぞれの事業、部門の詳細の目標値が決まると、実際に計画の通り運営した結果を月次、四半期、半期で予算(計画)と実績を対比し、分析を行うことで、計画通り進んでいるのか、計画通り進捗していない課題を数値から判断します。

これらの運用を行う場合は計画と実績を管理し、差分分析を行うことで詳細の課題の設計を行います。

これらを課題毎に、対応策の(Plan)→対応策の実施(Do)→結果の評価・分析(Check)→次なる改善策(Action)など、サイクルを回します。

その上で必須となるのは、予実の管理ツールです。

会社によって様々ですが、大きくは下記の4種のツールを利用しているケースが多くあります。

  1. 予算管理ソフトウェア・システム:予算編成、社内統合予算管理機能
  2. 予実管理ソフトウェア・システム:予算と実績数値を管理することに特化したソフトウェア・システム
  3. Excelなど表計算ソフトで管理ツールを独自に作成する場合
  4. または自社でのシステム開発

管理ツールとしてそれぞれ特徴はありますが、予算管理・予実管理ソフトウェアのようなツールを利用する場合は、そのツールの機能や制約条件等の特徴により、無理なく効率的に管理オペレーションが可能になります。

一方で、管理ツールにコストをかけたくない、または自社で使い勝手含めて全て設計、運用したい場合は、3.のExcelなど表計算ソフトによるツールを利用し、管理シートを設計・運用を行えます。

比較的大手企業では、4.の社内システムとして自社開発をするケースもあります。

それぞれにメリットやデメリットがあるので、一概にどれがいいとは言えませんが、それぞれ要件にあったツールを選んでみては如何でしょう。

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予算計画は修正しても大丈夫

会社・事業運営上、当初計画より大きく変化した市場環境等により予算計画を見直し、修正することは大切です。
上場会社であれば前述の通り、見通しの修正など開示ルールに則り、適切な開示が必要となります。

予算計画の立て方

予算は全社を対象に、部門単位で分割する

予算を立てる上で重要なことは、売上目標や利益目標を立てる事も重要ですが、その目標は理想が高く、非現実的なものであってはいけません。

事業を運営していく上でそれぞれ必要な役割や機能を各部門が担っているため、部門単位またはPJ単位の最小構成単位まで分割して、予算を立てることが必須となります。

もちろん経営目標として、「売上高は前年比何%以上必須、粗利率何%以上を目標に利益は今期**億円を目指す!」など設定することは重要です。

事業を複数持っている場合などは、その事業分野において市場成長率や国内浸透率などを参考に「自社はシェア%獲得」など戦略上掲げることも重要でしょう。

しかし、それが実際に現実的なものなのかや、事業運営上必要な各部門のリソース配分や稼働数などに見合っているかという視点を持つことも必要です。そのためには、各々の部門による、現場目線で立てた結果としての「部門が作成した計画数値の積み上げ」による売上、原価、販管費、そして利益が幾らか?という算出が重要です。

つまり役員はじめ会社のトップが考える経営目標数値のトップダウンアプローチの計画と、各部門が引いたボトムアップアプローチの計画が両方必要となります。

予算の使い道の妥当性を考える

それぞれの部門が運営していく上で必要コストや経費がかかるのは当然です。その使い道の妥当性を考えながら計画を立てましょう。

例えば、売上のための顧客獲得には、営業人材やオンラインマーケティングなど広告宣伝施策も必要になります。構成される必要コストは以下のようなものが代表的です。

  • 人件費:
    運営上必要な人材(営業やマーケティング、プロモーション)の人材像を明確にする。
    └ 人材要件:(20代後半、実績あり、市場相場年収450-500万など)×必要人数
  • 広告宣伝費:
    認知広告やサービスキャンペーンプロモーションによる利用数の拡大のため。
    └ Web記事広告の依頼A社:単価80万(記事リリース**月)
    └ タクシー広告(認知):単価350万(6−8月末の3ヶ月間)
  • 外注費:
    └ 展示会イベントスタッフ3名(15万)

上記のように目標・予定行動単位の計画で月毎に数値を入力していくと良いでしょう。

過去の損益計算書をチェックすることで実効性が増す

当然のことですが、起業したての会社以外であれば、前年度以前の過去の損益計算書を確認することは大切です。

過去の実績比較し、極端にかけ離れた計画になっている場合は注意が必要です。過去実績との差分は何が原因で成長しているのかを把握し、成長のプラス・マイナス要因を理解しておく必要があります。計画はあくまで計画であり、ただの数値遊びとならないよう気をつけましょう。

また、損益計算書の元となる支払い履歴を予め部門別の過去支払い実績として月次単位で整理しておくと、非常に便利です。

予実管理の一環として経理財務部や経営企画・管理部門など連携しながらオペレーションを設計してみては如何でしょうか。

予算計画に基づき、実行のための行動計画も策定する

予算計画の数値と並行して行動計画も策定すると相互に関連し、行動の実績として評価することが可能となります。

全ては売上、利益に繋げるため、行動の計画が起点となります。

それぞれ販売戦略上の広告施策や新規事業開発、製品の機能開発など目標に向けて行う行動計画をブレークダウンし、プロジェクト単位で計画を立ててみることをオススメします。

それぞれの行動計画を構成するプロジェクトリストをマイルストンやスケジュールとして作成することで、何をいつまでに達成するべきか、そのために必要となるリソースやツール導入は何か、さらには人材の動きまで、詳細を整理・確認しながら予算計画と照らし合わせて、数値と行動の計画整合性が取れているかを確認することが可能となります。

予算計画の最終レビュー

予算計画を作成した後は、社内の経営会議や取締役会にて決議、承認のため、最終のレビューが必要となります。

上記に様々なツールや管理方法など紹介しましたが、予算計画を編成する上で基となる行動計画書や過去実績表など、計画の蓋然性を示す資料や引用・参考資料などしっかり管理し、レビューの準備を万全に行いましょう。

予算計画の運用

売上予算

月次、四半期、半期で予算と実績のレビューを行いましょう。売上を構成する事業別、商品別に予実評価を行い、その他KPIなど目標指標も副次的に設定し、管理・運用を行うことで、成長要因や反対に課題を抽出する事ができます。

分析していく上で、各種売上、事業KPI数値のYoYやMoMなど前年比較や前月比較をする事で、予算達成具合と同時に内部要因や外部要因など実績の裏側にある背景も追求していきましょう。

利益予算

利益は黒字であれば言う事ないのですが、会社の成長フェーズによって求めるものがその状況によって売上成長なのか、利益なのかが異なります。

プロダクトマーケットフィットを課題としている初期のスタートアップであれば売上、利益を度外視して、ユーザー数や開発力に力を入れるため、赤字経営は当たり前です。

そのため、事業計画はしっかりと行動計画に裏打ちされた根拠ある数値計画が必要となるほか、資金がそこをつかないよう、資本政策や資金繰り計画書も並行して作成、管理し、調達計画も遂行しなければなりません。

しっかりと目標と実績管理がされていなければ投資家に対する説明責任がないと判断され、調達機会を見送られてしまう事もあります。

反対に、上場企業などの場合、戦略上、今後の会社成長の一環として新規事業投資などを行うこともあります。その場合、利益が昨年対比でマイナスになりますが、次期以降の業績見通しではプラスにしていくなど、株主に対して開示した内容を約束として業績開示を通じ途中経過を報告しなければなりません。

四半期ごとに開示される決算短信や決算説明を行う上では、月次で予実管理をし、次の開示までの見通しなどを立てながら開示説明する内容を作成しなければいけません。

なるべく管理は複雑にしない、ならないを心がけましょう。エクセル等表計算ソフトで管理運用をする場合、管理設計と並行し管理シートの雛形作成も行わなければならず、煩雑になりがちです。複数人でエクセルシートを入力する場合、行や列の追加・削除により関数が崩れてしまうことも大きな懸念の一つです。履歴や入力禁止、アラート表示などを活用し、作業時のリスクを軽減させるエクセル機能を活用しましょう。

予算管理ツールで管理運用をする場合、予算と実績管理やサマリデータも作りやすく、表示崩れの心配もなく数値入力等の運用オペレーションが簡潔に出来ることからオススメです。

予算計画の見直し時期

予算計画の見直しは四半期、半期ごとに予実の状況を見ながらその都度検討します。計画策定時点と現状での状況の違い、市場環境の変化など、様々な要因から予実の達成率等も変わってくるようであれば、良いタイミングで変更することが必要です。

まとめ

予算の策定は過去の実績を踏まえ、また現場の状況も加味し、行動計画を踏まえて作成しましょう。

計画と実績対比の予算実績管理の運用のポイントは、複雑な管理にしないようにすることです。エクセルなどで複数数値の参照データを作成したりと、複雑なシステムにしないことです。シンプルな管理を心がけましょう。

また、定期的に予算と実績数値を月次、四半期、半期、年次のタイミングで見直し、乖離するようであれば早めに修正を行うことをオススメします。

課題の早期発見・解決を目指すのであれば予算管理システムや予実管理システム、SFAなどのツールを使うのがおすすめです。適切な予実管理で経営目標をスピーディーに達成していきましょう。

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