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中期経営計画を達成に導くには?計画策定者が取るべき具体的プロセス

会社で作成される「中期経営計画」。組織の将来の方向性や目標を明確にし、戦略的な選択を行う指針となる​​中期経営計画は、組織の持続的な成長を実現するために欠かせない存在です。

そんな重要な計画である中期経営計画ですが、計画を立てるだけではなく、実際に実行していくことも重要です。

それでは、中期経営計画を作成し、実際に計画を達成していくためにはどのようなプロセスを踏んでいけばよいのでしょうか。

本記事では、経営企画経験者の視点から、中期経営計画を達成するために計画策定者が取るべき具体的なプロセスについて事例を交えながら解説していきます。

経営計画とは ~計画策定の目的と必要性~

経営計画とは「組織がある目標を達成するための計画」のことです。

まずはじめに、経営計画を策定するために必要な要素について見ていきましょう。

現状把握

まず、計画策定の大前提として、会社の「現状把握」をすることが必要です。現状把握なしには、経営計画=未来の計画を立てることができません。

現状の分析を通じて、企業の内部環境・外部環境を客観的に把握し、現在の課題や問題点を明確にしていきます。組織、人材の強み・弱み、外部の市場動向や競合状況、法律・規制の変化など、様々な要素を考慮して現状を分析していきましょう。

課題と目標の明確化

実施した現状分析を元に、課題と目標を明確化します。

経営計画を策定していく中では、実際に改善や解決が必要な課題、注力すべき指標を特定し、具体的な目標を設定します。目標は、計測可能かつ達成可能であることが必要です。また、経営計画には短期・中期・長期の視点を持ち入れて、適切な時間軸を設定することが重要です。

社内外への経営理念(ビジョン)の浸透

中期経営計画は、会社の経営理念(ビジョン)に基づいて作成されます。計画を策定した後には、経営理念と共に、社内外に浸透させることも大切です。

経営理念は企業の目指す姿勢や方向性を示し、従業員や関係者の共通の価値観を形成する重要な要素です。経営計画の中では、経営理念との関連性を明確にし、社内の従業員だけでなく外部にも広く伝えるためのコミュニケーション戦略をとっていくことも必要です。

対市場コミュニケーション

市場とのコミュニケーションも経営計画策定の重要な要素です。

市場のニーズや顧客の声を正確に把握し、それに応じた戦略や施策を計画に盛り込むことが必要です。

また、株主や投資家に、自社が市場とどのようにコミュニケートしているのかを説明するためのツールにもなります。

水原のひとこと

抽象的に説明すると何やら格好よく聞こえますが、実際はかなり泥くさい仕事です。
代表が目指すビジョンの理解や事業部門への地道なヒアリング、デスクリサーチ。それに基づく仮説の作成と、代表からのフィードバックの反映……。
以前の担当者をランチに誘ってうまく進める方法を聞き出すのも手です。

3つの経営計画とそれぞれの役割

経営計画は企業の目標達成や将来の方向性を定めるための戦略的な計画ですが、短期・中期・長期の3つの時間軸にわたって設定されます。それぞれの経営計画の役割についてみていきましょう。

短期経営計画

短期経営計画は、通常1年以内の期間を対象とした計画になります。

企業の目標達成に向けて具体的な行動計画を策定する、短期的なアクションプランです。

短期経営計画では、日々の業務の遂行や現時点での経営課題の解決といった具体的な指標が中心となります。売上や利益の向上、コスト削減、生産性の改善などを実行していきます。

企業の戦略的目標に基づいて策定され、日々の業務に直結するため、経営者や社員のモチベーションにも直結しています。

水原のひとこと

概念としては存在するものの、実務ではあまり使われない言葉です。
一般社員におりてくる「今期の計画」「年間予算」は、(理屈の上では)「短期経営計画に基づいた数値」ということになるでしょう。

中期経営計画

中期経営計画は、通常3~5年程度の期間を対象にした計画になります。

中期経営計画では、短期経営計画よりも長いスパンで事業をとらえるため、中期的な戦略・指針が含まれているのが特徴です。市場の変化や競合状況の予測を調査した上で、事業戦略や組織の再編成、新規事業の開拓などの戦略的な決定を盛り込みます。

将来の市場の変化や競争力の強化を見据えた計画を立て、短期経営計画での実行を通じて、企業価値を向上していきます。

長期経営計画

長期経営計画は、通常5年以上の期間を対象とした計画になります。

企業が将来的な成長を達成するために必要な施策を計画するものです。

長期経営計画は、外部環境の変化(市場の予測や技術の進化、社会・環境の変化など)が考慮されているのが特徴です。新たな事業領域の開拓や事業ポートフォリオの最適化、組織の変革、経営リスクなどについて考慮し、計画が立てられます。

長期経営計画は、将来的な経営方針の明確化や社員の意識統一、投資家の信頼獲得などに利用されます。市場環境や技術の進歩などの変化に対応した計画のため、柔軟に計画を見直すことも重要です。

水原のひとこと

私見ですが、中小企業で作られる「長期的な計画」の99%は「中期経営計画」です。
長期経営計画は主に大企業が作っています。(WEB上にも公開されているので、検索をすればすぐに確認することができます)
外部要因の仮説は往々にして崩れるため、策定当初のまま実行されることはほとんどありません。社内外のステークホルダーから各種施策への理解を得るためのコミュニケーションツールとして使われます。
とはいえ、長期的な視点に基づくヴィジョンは一本の小説のように読み応えがあります。ぜひ読んでみてください。

失敗する中期経営計画の共通項

ここまで経営計画の概要についてみてきました。

事業運営に有用な経営計画ですが、「ただ立てればよい」というものではありません。当然ながらあえなく失敗に終わった計画もあります。

ここでは「失敗する」中期系経営計画の共通項について、事例を交えながらみていきましょう。

課題・目標が明確でない

「課題・目標が明確でない」中期経営計画は、失敗の可能性が高まります。

計画内で具体的な課題や目標を設定していない場合、従業員や組織全体の方向性が定まらず、経営の優先順位や取り組み方が曖昧になります。これにより、中期経営計画の実行が迷走し、結果的に失敗する可能性が高まっていくのです。

事例①

精密機器メーカーのA社は、中期経営計画において「20%の成長率を目指す」という目標を掲げました。

しかし、この目標がどのように達成されるか具体的に示されておらず、また、ビジネスポートフォリオや競合戦略についても不明瞭な計画となっており、計画の失敗につながりました。

失敗しただけでなく、​社内外から批判も集まりました。

事例②

自動車メーカーのB社は、発表した中期経営計画において「生産台数1000万台を目指す」という目標を掲げました。

しかし、設定された目標は根拠に乏しく、実体と乖離していたため、社内では目標達成に有効な取り組みを実施することができませんでした。結果として、計画の失敗につながりました。

このように、課題・目標が明確でない中期経営計画は、実現に向けた明確な方向性や、社内外からの支持を得るための説得力を欠き、失敗に繋がっていきます。中期経営計画を策定する際には、目的や目標を明確にしていくことが必要です。

従業員へ浸透していない

「従業員へ浸透していない」中期経営計画は、失敗の可能性が高まります。

計画が組織全体に浸透していない場合、従業員が計画の内容や意義を理解せず、計画に対する共感や意識の共有が不十分になります。これにより、従業員の協力や参加が得られず、中期経営計画の実行が難しくなり、失敗の原因となります。

事例①

小売店C社は、中期経営計画において、「スーパーマーケットの20%のシェアを目指す」という目標を掲げました。

しかし、この目標が従業員に浸透しておらず、店舗における顧客サービスの向上や品質改善などが不十分であったため、目標達成には至らず、計画の失敗につながりました。

事例②

電機メーカーD社は、中期経営計画において、「利益率8%以上を目指す」という目標を掲げました。

しかし、この目標が従業員に浸透しておらず、現場でのコスト削減や製品品質向上などが不十分であったため、目標達成には至らず、計画の失敗につながりました。

このように、中期経営計画が従業員に浸透していない場合、現場レベルでの目標達成に向けた取り組みが不十分となり、計画の失敗につながることがあります。企業は、中期経営計画を策定する際に、従業員への浸透や共有を促すコミュニケーション戦略の重要性を認識し、実行していく必要があります。

予算と実績が乖離したまま修正されない

「予算と実績が乖離したまま修正されない」中期経営計画は、失敗の可能性が高まります。

計画には予算や目標の設定が含まれていますが、実際の業績が予算や目標から大きく乖離している場合に、適切な修正が行われないと、失敗のリスクが高まります。

中期経営計画の実行においては、進捗状況や成果を定期的にモニタリングし、必要に応じて計画を修正することが重要です。修正を怠ると、計画の達成が困難になり、失敗につながる可能性が高くなっていきます。

事例①

大手飲食店E社は、中期経営計画において、「2020年までに売上高5兆円を目指す」という目標を掲げました。

しかし、疫病の流行により顧客の生活環境が変化。予算と実績が乖離し、売上高目標の達成が見込めなくなりました。外的要因の変化への対応が遅れたため、計画の失敗につながりました。

事例②

電機メーカーF社は、中期経営計画において、「2020年には営業利益率10%以上を目指す」という目標を掲げました。

しかし、設備投資の増加や為替レートの変動などにより予算と実績が乖離し、目標達成が見込めなくなりました。達成が見込めないにも関わらず修正が遅れたため、計画は失敗につながりました。

このように、中期経営計画の予算と実績が乖離したまま修正されない場合、環境変化への対応が遅れ、計画の失敗に繋がることがあります。中期経営計画の実行後は、ただ任せるのではなく、細かく実績を確認しながら、計画を修正していくことが重要です。

失敗事例を参考にしながら、課題・目標の明確化、組織全体への浸透、定期的な修正とモニタリングを行い、中期経営計画の成功確率を高めていきましょう。

水原のひとこと

(上場企業の方には釈迦に説法ですが)状況に応じて予算自体を修正することも必要です。
予算通りに事業を進めることで、ステークホルダーの信頼を獲得できます。

中計を達成に導く計画策定の具体的プロセス

これまでに、経営計画策定の意義や目的、失敗する経営計画の共通項について解説してきました。

この章では、中期経営計画を達成に導くための、中期経営計画策定の具体的なプロセスを解説していきます。

現状分析

達成可能な中期経営計画を作成するため、まずは事業や市場の現状を正確に把握していくことが重要です。現状を把握するためには、現状分析が有効です。ここでは、分析の手法をいくつか紹介していきます。

SWOT分析

SWOT分析は、企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析する手法です。自社の強みや弱みを正確に把握し、市場や競合環境の機会や脅威を理解することで、自社の戦略を練る上で有効な情報を得ることができます。

PEST分析

PEST分析は、政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要素を分析する手法です。これらの要素が自社の事業にどのような影響を与えるかを把握することで、戦略の立案やビジネスモデルの変更などの方向性を考えることができます。

顧客分析

顧客分析は、自社の商品やサービスを利用する顧客層の属性や行動を分析する手法です。顧客を分析することで、市場ニーズやトレンドを把握することができます。この分析は、自社の商品やサービスの改善や新商品の開発など、戦略の立案に役立てることができます。

競合分析

競合分析は、自社と同じ市場に参入している競合他社の事業戦略や強み、弱みを分析する方法です。これにより、競合他社と比較した時の、自社の強みや弱みを見直すことができます。また、市場のトレンドやニーズに対してどのように競合他社が対応しているかを把握することで、自社の戦略やビジネスモデルを変更する方向性を考えることができます。
以上のような現状分析を通じて、自社の強みや弱み、市場のトレンドやニーズ、競合環境などを正確に把握していきましょう。

経営戦略の策定

現状分析を踏まえて、組織の中期的な経営戦略を策定していきます。

経営戦略は、組織のビジョンやミッションに基づき、長期的な目標に向けた戦略的な方向性を定めるものであり、中期経営計画の土台となります。

ここでは、経営戦略の策定に有効なフレームワークについて紹介していきます。

ポーターの競争戦略

ポーターの競争戦略は、自社の競争優位性を競合他社と比較し、独自性のある競争戦略を立てるフレームワークです。コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略の3つの戦略があり、自社にあった戦略・組合せを活用していきます。

マーケティング戦略

マーケティング戦略は、商品・サービスの価格設定、販売チャネル、プロモーション、商品の特長や顧客ニーズに合わせた商品開発などを戦略的に決定する手法です。市場調査を行い、顧客のニーズやトレンドを把握し、それに合わせたマーケティング戦略を策定することが重要です。

M&A戦略

M&A戦略は、自社の事業を拡大するために、他社の買収や合併などを戦略的に行う手法です。自社の強みとなる事業領域を分析し、M&Aによって強化することで、市場競争力を高めることができます。

以上のような様々な戦略を組み合わせながら自社の競争優位性を確立し、目標達成に向けた経営戦略を策定していきましょう。

水原のひとこと

フレームワークによる分析も重要ですが、実行されなければ意味がないのが「計画」です。私が計画を策定する際には、美しくなくてもよいので、妥当性がある結論を出すことを念頭に置いています。

数値目標の設定

経営戦略をもとに、具体的な数値目標を設定します。

数値目標の設定により、組織全体で共有される具体的な目標が設定され、組織の方向性を明確にしていきます。数値目標は、売上高、利益、市場シェアなどの定量的な目標を含むことが一般的です。ここでは、数値目標の設定方法についていくつか紹介します。

SMART目標設定

SMART目標設定は、目標を「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性がある)」「Time-bound(期限を設定した)」の5つの要素で設定する方法です。この手法により、具体的で明確な目標を設定することができます。

現状分析を基にした目標設定

先ほど紹介した現状分析の結果を踏まえて、自社の強みや弱み、市場ニーズや競合環境などを考慮し、達成すべき数値目標を設定することができます。例えば、市場シェアの拡大や売上高の増加、新商品開発数などを設定することもできるでしょう。

経営指標を基にした目標設定

自社の経営指標に着目し、それを向上させるための数値目標を設定することもできます。例えば、営業利益率やROE(自己資本利益率)の向上、在庫回転率の改善などが設定できます。

ベンチマークを基にした目標設定

同業他社や業界の平均値などをベンチマークし、それを超える数値目標を設定することもできます。例えば、同業他社の平均よりも高い市場シェアや売上高、高い営業利益率などが設定できます。

以上のように、SMART目標設定や現状分析、経営指標、ベンチマークを活用して、具体的で実現可能な数値目標を設定することが重要です。また、設定した数値目標に向けて、具体的な施策やアクションプランを立てていくことも大切です。

社内への浸透

中期経営計画を作成した後は、組織内に浸透させることが必要になります。

経営陣や従業員、関係者に対して計画の内容や意義を明確に伝える場を設けましょう。コミュニケーションを通じて、中期経営計画に対する共感や意識の共有を促し、組織全体での理解と協力を得ることができます。ここでは、中期経営計画の社内への浸透を促進する方法について紹介します。

コミュニケーションの徹底

中期経営計画を策定する際には、経営陣や各部門の意見を取り入れることが重要です。そのため、計画策定時からコミュニケーションを徹底し、計画に関する情報をできるだけ多く社員に共有することが必要です。また、計画策定後も、定期的に報告会を開催し、計画の進捗状況や課題などを共有することで、社員の理解と共感を促進していくことができます。

目標の設定とフィードバック

中期経営計画においては数値目標の設定が重要ですが、それだけではなく、社員が目標に向けて取り組む意欲を高めるために、目標達成に向けた具体的なアクションプランを策定することが必要です。また、目標の達成状況を定期的に測定し、フィードバックを行うことで、社員の意欲を高め、計画の進捗を促進することができます。

教育・研修の実施

中期経営計画を実行するためには、社員が必要なスキルや知識を持っていることが必要です。そのため、計画実行に必要な教育・研修を実施し、社員の能力向上を図ることも重要です。また、教育・研修を通じて、計画の背景や目的、社員の役割や責任を理解する機会を提供することで、社員のモチベーションを高めることができるでしょう。

成果の公正な評価

中期経営計画の実行においては、成果を公正かつ客観的に評価することが必要です。成果を評価する際には、個人の業績だけでなく、チームや部門の業績を評価することが重要です。また、成果に応じた報酬や評価制度を設けることで、社員の理解を得ることができます。

以上のような手法を使い、中期経営計画を社内に浸透させていきましょう。

進捗の管理(予実管理)

中期経営計画に基づくアクションが実行され始めたら、進捗の管理(予実管理)をしていくことが重要です。中期経営計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、予算や目標との乖離を把握していきます。

進捗の予実管理を通じて、計画の進行状況や達成度を把握し、問題点を早期に発見し、対策を講じていくことが重要です。ここでは、進捗管理の方法について紹介します。

課題管理システムの導入

課題管理システムを導入することで、プロジェクトの進捗状況や課題を可視化し、リアルタイムで情報を共有することができます。

週次ミーティングの開催

プロジェクトの進捗状況を確認するために、週次ミーティングを開催しましょう。ミーティングでは、前週までの進捗状況や課題、今後の予定などを共有し、問題があれば解決策を検討しましょう。

ガントチャートの作成

ガントチャートを作成することで、プロジェクトのスケジュールを可視化し、進捗状況を把握することができます。また、遅れが生じた場合には、ガントチャートを修正して、再度スケジュールを調整しましょう。

KPIの設定

プロジェクトの進捗を定量的に評価するために、KPI(Key Performance Indicators)を設定しましょう。KPIを設定することで、目標達成度を数値で把握し、適切な改善策を検討することができます。

予算管理

与えられた予算が何に消化されているのか把握できるフォーマットを作成しましょう。期間ごとの消化率を把握し、進捗に応じて軌道修正をすることも重要です。

以上が、中期経営計画の進捗管理の方法です。進捗管理は、実務のスムーズな進行や目標達成に欠かせない重要なポイントです。

新たに中期経営計画の運用を始める場合では、社内への浸透や進捗管理はとても大変な仕事になるかもしれません。

計画段階では関与者は管理部門や管掌役員、管理職が中心となりますが、実行段階では様々な社内の軋轢の中に放り込まれ、担当者の精神はすり減り、ともすれば計画までも倒れていきます。そういうものだと予め知っておき、「計画を達成するのだ」という強い心を持ちながら業務を進めていきましょう。

計画の修正

進捗管理の結果や経営環境の変化を踏まえて、必要に応じて中期経営計画を修正していきましょう。計画の内容や目標を適宜見直しながら、最適化することが必要です。ここでは、計画を修正していく方法について紹介します。

定期的な評価を行う:中期経営計画は、単なる架空の計画ではなく、実現可能な目標を達成するための実行可能な計画です。計画の進捗状況を定期的に評価し、計画に合わせて修正が必要な部分を特定する必要があります。

チームメンバーとの意見交換

計画の進捗状況を評価する際には、計画に関与するチームメンバーとの意見交換を行うことが重要です。各部門のリーダーやプロジェクトリーダーなど、計画に関与する人々が提供できる情報を集め、計画を修正するための最善の方法を検討します。

予算の調整

計画の進捗状況を評価すると、予算の調整が必要な場合があります。予算の見直しを行い、計画の目標に向けて予算を調整することで、計画を修正することができるでしょう。

目標の再評価

計画の進捗状況を評価すると、目標の再評価が必要な場合があります。目標が現実的でなかった場合、または進捗状況に応じて目標が修正される必要がある場合は、目標を再評価し、修正を行いましょう。

修正の文書化

計画の修正を行った場合、修正内容を文書化し、従業員に共有する必要があります。修正内容に関する情報を明確にし、修正に関する情報を透明にすることで、チーム全体が修正内容を理解し、目標に向けて一致した行動をとることができます。

以上が、中期経営計画の修正方法です。計画の修正は、戦略の達成や、最終的な目標達成に欠かせない重要なポイントになります。

まとめ

この記事では、中期経営計画の目的、失敗事例をみながら、中期経営計画を達成に導くための具体的なプロセスについて解説してきました。

ぜひ、日々の実務の中で参考にしてみてください。

水原のひとこと

会社の規模によっては、中期経営計画を作成していない場合もあります。
上場企業や何億もの資金調達をしている会社でも、中期経営計画が存在しなかったり、計画に基づく運営をしていないこともしばしばです。(本当です)
ここに書かれたことを全て完璧に実行している会社も、ほとんどないでしょう。
当たり前のことを当たり前にやるだけで、「かなりいい感じ」の会社になれるのではないか……。色々な会社を見て、そんなことを思います。

これを読んだみなさんは「中期経営計画に基づいた目標を達成させる」ヒントに触れられており、さらには「なんとなくやっても失敗するだけ」という事実も知ることができている、という点で優れた計画策定者となることでしょう。中期経営計画の有用性を認識していない担当者も多くいますし、「作ればなんとかなるだろう」と、作ることがゴールになってしまっている経営者も多くいるのが現実です。
ぜひ会社をよくする手段として、どんどん記事を利用してみてください。もちろん、書籍や動画、有識者などから更なる一次情報を集めることも忘れずに……。

著者プロフィール

水原しおり

2018年より個人事業主としてリラクゼーション事業を経営する傍ら、研究開発系ベンチャー企業経営における事業企画を受託。

2021年にはマザーズ上場IT企業内にて経営企画部の立ち上げに参画し、属人化していた経営企画業務の標準化を推進。

2022年、グロース上場コンサルティング企業での事業企画に従事。

事業のフェーズに応じた戦略立案と確かな実行を見据えた施策表現を強みとして、中長期的なビジョンを踏まえた数多くの中期~短期施策立案を手掛ける。

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